わんことくらして

同居人のパソコンと自分のパソコンの共有フォルダに、同居人の「わんことくらそう」の感想が置いてあったのをいま見つけてしまったので晒しあげ。
許可は取ってありますが。改行だけ手を加えました。

(以下より)

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わんことくらして

重いと言うか深い。裏読みをすればいくらでも読めてくるような気がする。そんな作品である。
人間でない、一定の人格ベースを持つものの設定のため、どうしても人間を前提に考えた場合の思考がスカされているようなそんな希ガス

言語化しようとするとすり抜ける何かが確実にある。

「この物語は***が***な物語であり……」という分類が多分空虚に見える作品。
でも言う人は言うだろうなぁ。


人生というものに対する「余禄」感みたいなもの。
目的は無いけどとりあえず生きてます。見たいなものに対する肯定と/人と近い思考を持てる「明らかに人より短い寿命を持つ生き物」を同時に設定するというアクロバティックな感性。崩壊せずにそれでもどこか決まりの悪さを感じざるを得ない感覚が残る。

多分それでも「みかんかわえー」って言ってるだけでも何か得ているような感じ。

あとみかんは両手を前にしてちょっとうつむいて照れてる絵も激ラブリー。

060416

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作中を通して、一般的に扱われる《恋愛》というものに対する否定的なスタンスが感じられる。

《恋愛》の存在は認めますよ? きっとあります。たしかにあります。
でもね、きっとそれは奇跡(比喩としてレアであるという意)みたいな存在で、その辺でテキトーに手に入るもんじゃないんですよ。いいですか?みたいな語りと、で、家族を持つってのは恋愛とは関係なくてもできるんですよ。
家族は家族。恋愛は恋愛。別のハナシなわけですよ。
そんなわけだから《恋愛》欲求(切望)症候群に世代全体がかかっているようなご時世ですと、俺(祐一)みたいな人間が《それ》を売ってるフリをしちゃうわけですよ?みたいな、現代の人間が陥ってる《恋愛必須病》への皮肉的な内容も存在していると思われる。
いいか? お前ら。9800円で買ったゲームでお手軽に恋愛楽しんだみたいな気になってるが、それは錯覚だ!とか。


設定的に突き詰めると人間型動物は寿命が短く知性が人間ほど持てなく、早く育つという一種の亜人間(デミヒューマン)。
どっかのファンタジーでみたことがあるきがするんだけど、まあ、人間に従属する傾向の強いコボルドとかこんな感じかも知れぬ。
多分、その辺の割り切りのできない感覚が何を語っても取り落としているような気分にさせる要因であろうかと推察。
この部分をあくまで通常の動物と同じ設定にした作者の底意地の悪さと言うか、イっちゃってる局地みたいなものが感じられるのだろう。
まあ、人間との交配ができたり寿命が長かったりするとそれはまた別の異種族間交流の物語になっちゃうわけだが。


多分この世界のグリーンピースみたいな存在は人型動物の保護に力を入れてると思えるし、天然記念物に指定されている人型動物も存在し、すでに絶滅した人型動物も存在するだろう。(おそらく《狼》などが代表格になると思われる。)悪徳のペット業者が人型動物への餌代を惜しみ餓死させ。一部では人型動物を食べるという嗜好も存在するだろうし、人型動物を使った風俗店なども(やりようによっては合法的に)存在しているのだろう。
おそらく予測されるすべての悪徳は存在し、世に満ち、そして逆に擁護派も多数存在する。専門の人型動物擁護機関。人のいい獣医。擁護派の弁護士。あの子は家族です。彼/彼女のいない生活なんて考えられない。人型動物に人権を! 人型動物は人間に近い知性があるんです! 人型動物の軍事利用反対! 鯨を食べるなんてとんでもない!


そして、おそらくそんな状況を下敷きに、この世界の(イワユル)第三世界では*分に*人の**が*んでいるのだろう。 あなたの**で*人の子供にワクチンが。森林資源の保護が。現在も**では毎日**県と同じだけの森林が伐採されているんです。ワリバシの使用をやめてMy箸を持ち歩こう。

………なんだ。あんまりいつもと変わらないや。(「いつも」は超広義とす)


おそらく、このゲームは萌えーって言って。わんこでなごんで。癒されたような気分に浸って。で、ちょっとだけ現実のわんこたちの事を思って。そして終える。

「退屈な人生のちょっとした彩り。」

「多量に作られ、消費されて忘れられていく作品」

「僕(たち)が大好きな、とびっきりジャンクで濃口で、小難しい理論なんざうっちゃって浪漫と活劇と青春をお腹いっぱいにさせてくれる正しい娯楽。
 そう、オレたちゃエロゲーマー! いつでも腹ぺこ、ご馳走を次から次へと何の余韻もなく平らげる一介のこまったちゃんなのだった。いつかこの感動も薄れるけど、「*****」がどんな味だったかだけは、エロゲーマーであり続けるかぎり覚えているよ。さあ、今日も新しい娯楽を食い散らかそうぜ?」
060317

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(以上で終了)

ああ、真雪さんの「退屈な人生のちょっとした彩り。」はすげー感じたんだけど、セリフが出てこなかったんで書かなかったんだよね。
悔しいなあ。さすがにとらハ100万回やってるだけあるよ。
注)最後の括弧書きは奈須きのこの文の引用だそうです。