StrikerS X Disk02 全台詞聞き取り

DISK02

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■Track01:無限書庫〜小さな司書

IDカード、確認、しました。
続いて、音声確認を、お願いします。

うん…、高町ヴィヴィオです。無限書庫に調べ物に来ました。

確認、しました。ようこそ、ヴィヴィオ司書。

はーい。

おーヴィヴィオ、おはよう。

おはよーう、ヴィヴィオ

おはようございまーす。
オットー!来たよー。

ああ、陛下。ご足労頂きまして、恐縮です。

…ぁーあのねぇオットー。何度目かわかんないけど、陛下って呼ぶのやめてってばー。

はあ。

ヴィヴィオはふつーの、初等科三年生です。陛下とかじゃないから…。

普通の三年生は無限書庫司書の肩書きを持ってはいませんが…。

もー!人よりちょっと読書が好きな、ふつーの九歳の女の子!特別扱い禁止ー!

了解です。陛下。

…もう。いじわるー。

滅相もない…。

まぁいいや、調べ物はどーお?

これがまた、どうにもはかどりません。
僕なりに全力で調べては居るのですが…。

んー…昨日聞いた情報くらいだと、絞り込みが難しいからねぇ…。

壁に描かれたポエムの方は、該当するものが無いようで。
描いた人の創作っぽいです。
追加情報の方も…。

トレディアに…イクスね?

条件は、ロストロギアや兵器関連で探して欲しいと。

まぁーた物騒だねぇ…。

ランスター執務官からのご依頼ですから。

ふぇ?ティアナさんから?

言っていませんでした?そうです。

はやく言おうよー!それなら私も昨日のうちに来て、泊まり込みで調べたのに…。

それはそれで、陛下のご家庭や、健康的な問題が…。

ティアナさんはママの教え子さんだし…、私も色々お世話になった人なんだから、力になりたいよ…。

それは、まあ…。

おっけー!高町ヴィヴィオ、全力全開で調べちゃう!

お願いします。

ルールーから頼まれてる資料もあるし、サクッっとみつけるよー。
検索魔方陣七式てんかーい!
指定エリア、B.C.ベルカから、現在のベルカ自治区まで、本分含み、全文検索…。

かなり重いですよ?大丈夫ですか?

朝ご飯しっかり食べてきたし、だいじょーぶ!
オットーは出てきた本の確認お願いね。

御意に。

フルドライブ!オープン!
あ、でてきたー。

イクスとマリアージュについては…、古代ベルカ戦乱期中期から末期のエリアだね。

確認してきます。

ん、おねがい。

オットー、調子はどう?

ディード。いま、陛下が頑張ってくださってる。

年代や地域は絞れた?

マリアージュについては古代ベルカなのは間違いない。
時代的には聖王統一戦争の前。

書籍の解読や翻訳が一番難しい頃よね…。
騎士カリムの預言詩と同じか、それ以上か。

アギトさんに頼めれば手っ取り早いんだけど…。

アギトさんは確か、今休暇を取られているはずよ。

そうなの?

ルーお嬢様のところに行かれているとか。

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■Track02:アギド、ルーテシアを訪ねる

えー、シグナムへ。いまーマウクランに着いて、ルールーの迎えを待ってる。
そっちの調子はどうだ?アギト。送信っと!

アギトー。

おおっ!ルールー!

いらっしゃい。アギト。

はうっ!

今日はまた、大荷物だね…。

アタシと八神家一堂からの、おみやげ。
日用品とか、食べ物とかさ。

ありがとう…。

うん!あっあれ?ルールー、お母さんは?

買い出しに出てる。アギトが来るから、おいしいもの作るんだって。

〜っ!そりゃまたぁ!あー、いやーしかし、荷物どうしよう?
お母さんの車を期待してたんだけど…。

車に積んでおこう?近くに止めてあるはずだから。

そっか!

しかしやっぱり…ここはいいとこだなー。

犯罪者の流刑地には思えない?

そう言うコトじゃなくて、流刑地でもねーだろ、単に無人で、開発中の世界ってだけで。

まぁね。

(メール着信音)

お、シグナムからメールだ。

ん…。

なになに?「こっちは問題ない。ルーテシアと一緒にゆっくり遊んでこい」…か。
あーい変わらずおもしろみのない文面だぁ。絵文字くらい使えってのに。

シグナムさんらしいよ。

ヴィータの姉御だって、フェイスマークくらいは使うのにさ。

そういえば、そうだね。

シャマルのメールなんか、すんごいカラフルだぜ?
あとでみせたげる!

わたしのもそうだよ?

くっ、ふふふ…。

シグナムさん、研修なんだっけ?

恒例の隊長研修。四日間だって。

そう…えらい人は大変なんだね…。

まぁーねぇ。ま!おかげでアタシもお休み貰えたんだけどさ。

おじゃましまーす。

マフィン焼いてあるんだけど、食べる?

おおお〜っ!食べるぅ〜!

待ってて。

しかしルールー、本棚の中身、また増えたか?

キャロとヴィヴィオ、あとフェイトさんが送ってくれるから。

んー、中世ミッドの政治と軍事。古代魔術の文化と歴史…ルールーは好きだな。こういうの。

まぁね。面白そうな知識のつまみ食い。

ふぅーん。

はい、マフィン。まだあったかいよ。

おおお〜っ!やっきたてだぁ〜!ううう、おししそうだなぁ!

もちろん。

はぁ〜っ、あんがと!ルールー!
ぁ〜、うぐうぐ、うんめぇ〜!
あたしゃやっぱり、知識よりお菓子のつまみ食いが好きだ〜!

お茶煎れるから…。

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■Track03:無限書庫&共同調査

外からの呼び出し…誰だろう…。
はいアルピーノですが。

あ、ルールー!ヴィヴィオです。
ゴメンね。急に…。

ううん。どうしたの?

実はね、今無限書庫で兵器関連の調べ物をしてるの。

うん。

幾つか本命っぽい本や項目が見つかったんだけど、どうにも意味づけが出来無くって…。

国は、どこ?

先史ベルカ。聖王時代の少し前。

興味沸いた。原文データ、画像で送れる?

うん。オットー、お願い。

はい。

ぁ…、オットー、久しぶり。

お久しぶりです。ルーお嬢様。

よ!ヴィヴィオに、オットー!

あー、アギトも一緒なんだ〜。

ご無沙汰です。

あ…きた。

他に、データは?

マリアージュを見つけた人がいるっていう記録があったけど…。
これがトレディアって人みたい。

トレディア…、なんか、聞いたことあるような…。

アギトも…?私も。

まぁその人はいいや。翻訳文だよ。えっと…。

ここは簡単。

で、ここの単語が、こう…こうだろ?

ドクターに教わったお勉強が役に立つ。
この動詞がこっちに係って…。

どう?

うーん、大体できた。けど…なんか物騒だぞ?

読むね。
死者達によって構成される多数の軍列。
ししたて騎兵を喰らい、その数を増やし、戦場を焼け野に変える。
それがマリアージュ
イクスによって構成された軍列は、無限に増殖しつづけ、その進軍を止めることは不可能。

ということは…増殖兵器?

先史ベルカにそんな技術が?

まぁ…アルハザードが現役で存在してた時代だしな。

こないだキャロがプレゼントしてくれた、掘り出し物の稀少本。
あれに…イクスについての記述があったような…。

マ、マジか?

ちょっと待っててね。探すから。

あ、今カメラにティーカップとマフィンが映った…。
っ…、ゴメンね。お茶の時間だった?

いやいや、平気さ。マフィンは逃げねェ。

むしろ面白い調査に、みなぎってきた…。
あった。

ホント!?

ここにある。冥府の王、冥王イクスヴェリア。

冥王…?

先史時代の王様の名前。ヴィヴィオ、試しにこの名前で絞り込んでみて?

えっと…絞り込み検索、冥王イクスヴェリア…。

先史224年、生誕。古代ベルカ、ガレア王国の君主。
戦乱と残虐を好んだ、邪知暴虐の王…。

人の屍を利用して生み出す兵器を駆使し、近隣諸国を侵略したとされる。
古代ベルカ語で人形を意味するマリアージュと呼ばれた死体兵器とその製法は、
聖王家の戦船(いくさぶね)やゆりかご技術と同等のオーバーテクノロジーによるものと考えられる。

うーーーーん。

きなくさいね。

……あ!そういえば!

…?

ルールー!トレディア・グラーゼって名前、あたし達聞いたことあるじゃんか!

どこ、で?

あれだよ!あの変態博士のとこ!

そういえば…。

ドクターのアジトでですか?

オットーやディードたちが目覚める前。

なんかそいつと相談事してるとか、そんな話をしてた。

オットー!今の話、急いでティアナさんに!

はい。

こっちは急いで資料をまとめちゃおう!

翻訳手伝うよ。

アタシもな!

へへ…、二人とも、ありがとう!

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■Track04:捜査

以上が、取り急ぎの調査結果です。

そう…。

トレディア・グラーゼについて、姉さまたちに聞いてみました。
チンク姉さまとセイン姉さまによれば、彼はJS事件に助力予定の人物だったそうです。

そう…。

クワットロ姉さまから上の姉さまたち、あるいはドクター本人なら、詳しいことを知っている、とのことです。
恐らく、今回のマリアージュやイクスのことも。

ありがとうオットー。最高の情報よ。

引き続き、調査を続けます。

うん、みんなにもよろしく伝えて。

はい。

ルネ、聞いてたわね。

はい。

進展しそうよ。しっかりやろう。

はい。トレディアの行方は、捜査班が居場所を絞りこんでいます。
中央再開発地区、K-267の地下街付近かと。

あたしとギンガさんは別件がある。
ルネに出て欲しいんだけど。

はい。108のヘリパイさんが、応援を連れてきてくださったようですので。

ん、その人達と一緒に。

了解。急ぎ向かいます。

ん。

ギンガさん、ティアナです。

こっちもディードから報告を受けた。本局で手続きを取って、軌道刑務所まで行ってくる。、

お願いします。

ティア!

スバル…それに…。

お疲れ様です!

エリオ…、キャロ…。あんたたち…。

ギンガさんとスバルさんにお願いして、今回の事件についての協力許可を頂きました。

所属の保護隊からもオッケーを貰いまして。

エリオ・モンディアル一等陸士と。

キャロ・ル・ルシエ一等陸士。

ランスター執務官の下で、事件に協力させていただきます!

よろしくお願いします!

へへ…、だって!

まったく…ふたりそろってちびっ子のくせにお節介なんだから…。

あたしも止めたんだけど、二人の頑固さはお母さん譲りだ。

そういうことです。

何かあったらフリードもすぐに喚べますから。

うん、ありがとね。心強いわ。

フォワードチーム、四人集合ですね。

うん!アルトも居るし、それに、応援も呼んでくれるとか。

応援?

ああ、あたしが頼んだの。一応念のためね。
みんなに手伝って欲しいのは、何かあったときの現場作業。
だから、今すぐ何かして欲しいってわけじゃないんだけど…。

うん。

予想だけど…、すぐに何か起きるわ。多分、数日中に。

何か掴んだ?

少しね。

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■Track05:ギンガとチンク

ギンガ。チンクだ。

なに?

ドクターのところに行くのなら、私も…話をさせて貰えないだろうか?

…、外出許可は取れると思うけど…。

わがままで申し訳ないんだが…。

んーん、チンクもトレディアに関する証言者の一人だし…、大丈夫、一緒に行きましょ。

すまんな、姉上。感謝する。

ん。

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■Track06:JX705

はい!見えました。再開発地区、K-267です。

…下手くそな操縦、ご苦労。つか!いちいち揺れがでけぇんだよ!ちびアルト!

はーい。荷物がパイロットに文句つけるのはご遠慮願いまーす。

言われたくなきゃ操縦変わるかぁ?

やーです!この子はあたしの!

すみません。ヴァイス・グランセニック陸曹長。自分は…。

あー、アルトから聞いてるよ。俺の後輩の補佐官どのだろう?

すみませんね、ルネッサさん。ガラの悪い先輩で…。

って、誰のガラが悪いってぇ?

この人も六課の隊員だったんですよ。ティアナの先輩でもありました。

ま、よろしくな。

こちらこそ。

ティアナから聞いたぜ?射撃型だって?

…はい。一応は。

ぉお、オイオイ、今時実弾銃かい!しかもリヴォルバー!

携帯と使用の許可は頂いています。

なんて言ったけ、デバイス扱いで、可愛い名前で登録してたよね。

シルバーダガー…。思いつきだけで、芸のない名前です。

そのサイズのハンドガンってこたぁ、レンジはショートからミドルだな…。
ん、陸戦ポジはガードかセンター?

すみません。自分は武装隊の経験がないもので…。

ぁーこりゃ失礼。捜査官一筋?

本業は検死と鑑識です。

へぇ〜。

生きている人間より、死んでる人間相手の方が、合うようで。

はっ…、いいねぇ…。シブいな。

陸曹長どのも…。

JX705一番機へ。こちら地上警邏。手配中の容疑者が出現。
三名を確認。

…!

旧式の…テープレコーダー…。

詩編の九…。
時が訪れれば、王は帰還する。
操手の姿はなくとも、冥府は再び開かれる。
舞い上がる炎と鬨の声は、其処に正しく、平和の価値を知らしめる…。
この声に惹かれたのは、マリアージュか。捜査官か。
いずれにせよ、時は来た…。
何があろうと、私の悲願は止まらない…。

トレディア・グラーゼはここには、もういない…。
トレディア・グラーゼはここには、もういない…。
?機たち、ここには宗主トレディアはもういない。
探し出して、我らをイクスの下へ…。

(海に回った?)?機たちがいる…。どうか、イクスを…。

執務官補、三人相手、前衛やれっか?

陸曹長殿は地下でも狙撃弾丸を届けられると伺っています。
フォローをしていただければ。

おうよ…。
アルトォ!オメーが空の眼だ!ポジション作れ!

りょーかいっ!

ルネッサ、ハッチ開けるよ!

はい!

やるぜぇ?ストームレイダー!

(英語)

いこう…。シルバーダガー

おう!

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■Track07:独想
我々の生みの親は、まさしく稀代の天才科学者であった。

智恵という名の果実を手に、燃えさかる野心を胸に生まれ出でた。
それゆえに世界をあざ笑おうと試みた。
古代ベルカの遺産から、古今東西の魔法、技術、あらゆる叡智が彼の手にコレクトされ、
それらは主となる生命との融合を経て、絶大な力を発揮した。
そうして生まれた彼の最高傑作である12人の娘達は、革命を起こした。
幼い命を利用して、古代の魔導兵器を操り、この大地を破壊しかけた。
だが、その試みは、戦いのさなかで否定され、止められた。
12姉妹のうち、一人は帰らぬひととなり。七人は野に下り、残る四人と彼は、
ミッドチルダ司法の最高拘置施設である、ここ、衛星軌道拘置所にて虜囚の身となっている。

彼の名は…。

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■Track08:J.S.
ドクター、ジェイル・スカリエッティ…。

やあ…久しいね。

あなたの事件とは別件で、任意での事情聴取を依頼しに来ました。

待っていたよ。ゼロ・ファースト。それに…。

ご無沙汰している。ドクター。

チーンク。懐かしいね。

お変わり無いようで安心した。

健康は維持しているよ。この硝子張りの牢獄は、案外快適でね。

ウーノやトーレたちも元気で…?

変わりない。クワットロが少し太ったくらいさ。

あぁーんドクター!ひどぉい!もう元に戻しましたー。

クワットロ。

あらぁ、サーティーンにチンクちゃん。ご無沙汰。

捜査協力なら断ると言ったが?

トーレ、今日は違うそうだよ?

地上の事件など、私たちに関係の無いことのはずですが。

ウーノ。

久しいわね。チンク。

セッテは…あの…あれは最終ロットだからか?

ああ。

あなた方の通信回線を同時オープンする危険を冒してでも聞いておかなきゃならない事があります。

下の妹たちも関わるかもしれん。少々重要な案件だ。

今日は気分もいい…。かまわんよ。

トレディア・グラーゼという人物…、マリアージュという兵器、そして、その二つに関わるイクスについて、
あなた方が知っていることを…。

トレディア?

ああ…賛同者の…。

マリアージュってアレでしょう?なんか中途半端で出来損ないのポンコツ兵器…。

ウーノ、同志トレディアのデータを簡単に。

はい。トレディア・グラーゼ。オルセア解放戦線の活動家。
新暦59年、最初のマリアージュを発見。
63年、ドクターと遭遇、支援を受けて、マリアージュの量産計画を始める。

…!やっぱり!

そこまでは、私も覚えている。

彼はねぇ、革命を夢見ていたんだよ。
私の起こそうとしたあの祭に、参加を表明してくれた。

革命?

痛みを知って欲しい…、知るべきだ。良くそう言っていた。
まぁ彼の人間性には興味がなかったから、適当に合わせていただけだがね。

マリアージュは何処で何体作られて、トレディアは今どこに?

あっはははは!サーティーンってば調査不足ぅ〜。
その質問、ズレズレよ?

アレは、現地で生産した人の死体を利用するインスタント兵器だ。
生産数の確認は難しいな。

人語を解するクセに、作戦行動能力は昆虫並み…変な兵器よ。

トレディア氏はマリアージュを使い、いくつかの国の首都襲撃を企てた。
ま、頓挫したがね。…5年ばかり前の事だよ。

トレディア氏の居場所と、イクスについては?

ストップよ。サーティーン。

…。

ここからの情報提供は、交渉材料。

交渉?

大したことじゃないわ。事件の事であなたたちと交渉する意志はないのだし。

サーティーンちゃんでも、即決できるレベルよ。

…何?

出所の確かな…できればそれなりのベルカワインの紅をひと瓶。それだけさ。

差し支えなければその理由は…?

私の最高傑作のうちの一体、彼女の命日が近いだろう?

あ…。

ドゥーエの喪失くらい、悼ませてもらっても罰はあたらなかろう。

如何…?

わかりました。私が差し入れます。

素晴らしいね、サーティーン。いや、タイプ・ゼロ-ファーストだったか?

ギンガです!ギンガ・ナカジマ…。

感謝はしないわよ。これは交渉の結果だから。

構いません。トレディアとイクスの情報を…!

イクスヴェリアはマリアージュのコントロールコア母体。
マリアージュと違って生命体。人型をしてるわ。

姿形はわからんがね。まぁ十中八九、年若い女性の姿だ。

適切なエネルギーを得れば、体内でコントロールコアを無限に生成することができる。

トレディアとイクスヴェリア。現在の居場所も把握しているよ。

(携帯鳴る)

…!失礼…。

チンクねえ!聞こえる?いま、どこ?

ディエチ。軌道拘置所だ。ギンガもいる。

なにか?

ミッド海上で、大型火災が発生した。映像、見られる?

これは…。

海が…燃えてる…!

あぁ〜らぁ、キレイ…。

陸士隊も防災も総出の騒ぎ。場所は港湾地区海上…マリンガーデン…。
営業時間が終わってるから、人は少ないけど、かなりやばいことになってる。
お父さんの指示で、アタシらにも災害特例の緊急招集がかかった。
戻ってきて!

父上が…。了解。すぐに戻る。しばし待て。

うん。

急ぎの用事だね?手早く済まそう。

イクスヴェリアは今ディエチから報告があった地点、海底遺跡の内部。

そして、トレディア・グラーゼは…ふっふっふ…、4年前に死んだよ。
マリアージュに食われてね。

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■Track09:マリンガーデン(1)

こちら港湾警備隊本部!火災の規模はコンディションセブン!
燃焼剤で燃えてるぶん、内部温度の上昇が激しい!特救はツーマンで人命検索!
防災は()要請!化学()用の消火剤、()はエリア区切って消火弾!指示を待て!

非番チームにも招集をかけました。

おう、よりにもよって、やっかいなところを燃やしやがって!

この勢いだと、海岸線への延焼もあります。

ああ、別行動のソードフィッシュワン!状況よこせ!

こちらソードフィッシュワン!装備完了。協力者二名と一緒に、東アクアラインを進行中!

確認した。しっかりやれよ。分隊長!

ソードフィッシュワン、了解!

スバルさん!分隊長だったんですか?

へへ…、一応ポジション的にね…。
あたし、ほとんど単独行動だから。

じゃあ、指示お願いします。分隊長!

うん!なにはなくとも、人命検索!

センサーと目視で、生命反応を探して。

救助して、安全な場所へ避難!

そう!昨日もやったし、六課でも訓練した。教わったことを忘れずに。

はい!

それから絶対、生きて帰るのを忘れないように。
わかったら!ゴー!

了解!

センサーに反応。命がある。幾つも見える。
こんな訳のわからない、兵器だとか、火事だとか、そんなもののために、消えかけている命がある。
冗談じゃない!助けるんだ!私たちで、絶対!

【マッハ】英語

行くよ相棒!フルドライブ!ギア!エクセリオン

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■Track10:N2R

ディエチ!

おまたせ!カノンの使用許可下りたッス!

それと、消化剤タンク。

よし…サンキュー。ノーヴェ、ウェンディ。

液剤車はまだ足りねーけど、これから到着だって。

了解…。

あるだけ背負って、移動しながら撃つ。

アタシとノーヴェは特救チームの管制で人命救助。

それと、マリアージュとかいう量産型の放火犯がいたら、問答無用でぶっ飛ばす!

よう!ナカジマ四姉妹!じゃーねえ、N2Rだったか。
臨時協力、感謝する!

ボルツ司令…、こちら栗毛。一人欠けてますがすぐ合流します!

赤毛コンビが突入役ッス!

助かる!だがお前ら、データ共有と多少の訓練があるとはいえ、まだまだ素人には違いねぇんだ。
無茶はすんな。特に赤毛1号!ねーちゃんと妹の言うこと、ちゃんと聞くんだぜ?

ちぇっ!なんか納得いかねーけど、了解!

頑張りは期待するが、踏み込みすぎんな。以上!頼んだ!

了解!

んんじゃ、行くッスよ!ノーヴェ!

おぉう!

港湾本部、こちらN2R栗毛。消火剤砲撃に入ります。

了解。着弾点、座標で指定します。

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track11:マリンガーデン(2)

N2R赤毛ワンツー、崩落地帯破壊突破。(ハチャット、マーリすでに確保?)

ソードフィッシュワン、要救助者3名搬送。

N2R栗毛、フロアX-23完全消火!

いいぞ…、その手は悪くねぇ…。

ソードフィッシュワン、再出動!

明るい…。炎のせいで、まるで昼間みたいに…。
これがもし、混雑する営業時間内だったら…。

うぁちっ!
室内温度が…400度を軽く超えてる…こんな温度じゃフィールド全開でも10分と保たない!

エリオ!きびしかったら、避難してジャケットの再構築だよ!

はい!

【マリアージュ】???

スバルさん!マリアージュを発見しました!目視確認、17体!

キャロ!応援は?

いま、怪我人含む要救助者の搬送中です。エリオくん、シングルアサルト任せていい?

当然…!上手くやるよ。
スバルさん、しばらく通信消します。片付いたらまた開きますので。

りょっ、了解!

あなたも…イクスの糧に…。

いまは仕事中ですので、遠慮しときます!
ストラーダ!フォルムツヴァイ!

サンダーッブレイド

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track12:遭遇

エリオ…キャロ…、っ…!
港湾本部!こちらソードフィッシュワン!現在、遺跡観覧トンネル!
燃焼物少!室温500度オーバー!

了解!フラッシュオーバー注意!

…生命反応…。この辺りなんだ…。だけど位置が…。
危険信号!?現場に亀裂…崩落!

ソードフィッシュワン!緊急離脱を!

でも、生命反応が!

え…?貴女は…?

お、女の子…?

(???)です!来ないで!

じっとして!いま、助けるから!

きゃあっ!

…てっ…てて…まずい…頭、打った…視力が戻らない…耳も…よく…。

あの…すみません、あの…!大丈夫ですか?

ん…、と。

あの、大丈夫ですか?見えますか?

ご、ごめん!大丈夫…。見える!相棒、大丈夫?

No,problem.

良かった…、怪我してるけど、貴女は強い。

え…?

一人で帰れますね?

ちょっ、ちょと待った!何処行くの?

逃げます。あの子たちから…。

逃げる…?

私はいま、この場に居てはまずいんです。

えーっと…この子、なんか裸足だし、こんな薄着で…。…!もしかして…、イクス。

え…。

うわーっとと、転んだ!大丈夫?

上手く立てない…。なんで?設定外の目覚め方をしたから?

ああ…ええと…事情は良くわかんないけど、お姉さんはレスキュー隊員です!
火災現場に人が居たら、助け出すのがお仕事です。

え…?

スバル・ナカジマ防災士長であります!お姫様、お名前は?

イクス…ヴェリア…。

ん…やっぱ、イクスね。

あたしの友達がね、イクスのこと探してたんです。

マリアージュっていう怖いドールから守って、助け出してあげてって。

あ…あの、なにを…。

だーいじょうぶ!安心して抱っこされててください。
安全な場所まで、一直線ですから!

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■Track13:信念

ランスター執務官。ルネッサです。

ルネ、無事だった?地下街のトレディアとマリアージュは?

マリアージュは三体を破壊。トレディアの姿は確認できませんでした。

いま、何処にいる?

アクアロード北側展望道路。ヘリから降下したところです。執務官は?

そこから…見える?800mくらい先。出入り口の放水車両脇。

見えました。いらっしゃいます。

アタシは、これから中に突入して、イクスを保護しに行く。

そんな…、危険だわ。

他に手の空いてる人がいない。私が行かなきゃ。

では…私は…。

ルネは別行動でマリアージュ対策。
防災の人たちが襲われないように。

了解。

行かれたか…。
この混乱なら、自由に動ける…。私も探しに行かないと…。
耐熱防護服問題なし。弾薬、残り充分。
この炎は……明けの星……再生の炎の中で、イクスは王として甦る…。
現在の稼働マリアージュは32体…。だが、出動している防災担当は、周辺含めれば数百人以上…。
これだけ居れば…充分だ…。
イクスが居て、死体が幾つでも作れるこの状況なら…、うぁっ!
う…撃たれた?背中から?

独り言をいうクセは…演技じゃなかったんだ…。
それから…背後が甘いのも。

う…、ランスター執務官…。
先ほど…車両脇にいらしたはず…。

学生時代からの得意技。

高速移動…、いや…幻術…!

フェイクシルエット…。あっちが幻影で、こっちが本物。

お見事です…。

抵抗は無駄よ?捕獲用のスタンバレット。丸一日は動けない。

知ってます。…っ。
私のことはいつからお気づきで?

トレディアの名前が出てきてから。

私は…何か失敗を…?

彼の名前が出た時、視線と声が少し寂しくなった。

…っ…。

あれから調べたわ。オルセアで一緒に居たことがあるんでしょ。
トレディア・グラーゼと。

血は繋がっていませんでしたが…、親子でした…。
そして…それ以上に…あの土地で、地の底みたいな戦場で…、同じ夢を見て戦った…仲間でした…。

動機は彼の遺志を継ぐため?

救い出された先にあった、平和な世界なんてものを信じては見たかった。
だけど、そんなのからっぽだった…!ただ人の数が多いだけ…。
人は何処でも戦って、傷つけて、殺し合う…。
父もそうして絶望した…。だから父は世界に気づいて欲しかった。

気づく…。何に?

戦いの意味と、虚しさを…。

一緒にいる間、あなたともっと話合えたらよかった。

それでもきっと、私は変わりませんでした。

ヴァイス先輩、護送の付き添い、お願いします。

ああ…わかった。

……、ランスター執務官。ひとつ…質問よろしいでしょうか…?

何…?

副官としてのお誘いは、私の動揺や心変わりを引き出すための、フェイクで…?

本気だったわ。こんな事にならなければ、いまでも。

…ありがとうございました…。

ギンガさん。ティアナです。

ティアナ、どう?

今、容疑者を護送。私もマリアージュ対策と、イクスの捜索を開始します。

ティアナ!ギンガさん!大変!

アルトさん?

さっき108のソナーで遺跡内を探知したんだけど、イクスヴェリア、もう動き出してるかもしれないって!

ほ…本当に?

それにスバルも、遺跡近くのトンネルで通信が途絶えてる!
スバルがロストした場所、瓦礫と燃焼がひどすぎて孤立してるって!

大丈夫。私が向かいます。

ティアナ!

無理だよ!

クロスミラージュに、スバルが見てたのと同じ地図を。
それがあれば大丈夫です。

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■Track14:歴史

港湾本部!港湾本部!こちらソードフィッシュ
ティア!エリオ!キャロ!ダメだ…よりによって通信も念話も…。
(あ…てゆうか…右足ヒビくらいはイってるかも…。スピード出せないし、マリアージュに襲われたら・・・ 。)

あの…防災士長、だめです、離して。

やーです!さっきも言ったでしょ?いい子で抱っこされててください。

でも…。

で、なんであたし、イクスに丁寧語になっちゃうんだろ?

王…ですから…。

あーやっぱ王様なんだ。じゃあ…陛下って呼んだ方がいいですかね?
聖王陛下はそう呼ばれると嫌がるけど…。

聖王…?!まさかベルカ聖王家の王ですか?

へへ…何代目かは忘れたけどね。友達なんですよ。私。

嘘です…。

嘘なんかじゃないですよ。メル友ですし、会えばお茶だってしちゃいます。

嘘です…前に目覚めた時には、聖王家どころか、古きベルカそのものがなくなっていて…。

あー…それはほんとです。

1000年以上前から、人は戦い続けて…。
私やマリアージュ、聖王やゆりかごは戦いを止めるための兵器として生み出されました。
求められたのは、戦(いくさ)を自らの勝利で終えるための力。
だけど、生み出されるのは死と混沌と、新しい戦いだけ…。

わたしの…イクスヴェリアの失敗…、融合騎たちの失敗…、聖王の失敗…。

失敗って…。

みんな、失敗作です。
今の時代に生きていてはいけない。
だから、私も消えなければならないのに…。
私は死ねないから…。

ん〜、とりゃ!

いたっ!

失礼。今のはデコピンといいまして、お馬鹿な子を懲らしめるのに使うお作法です。

お…お馬鹿…。

消えるの死ぬのなんてそんなこと、子供がいうもんじゃないです。
詳しい話と相談は、安全な場所に着いてから伺います。

何歳だと思ってますか?貴女よりずっと年上です。

見た目子供だし。そんなこという子は大人じゃありませんよー、っと。
壁と瓦礫で、どん詰まり!でも、これくらいなら!

バディ!

見つけたぞ…イクスヴェリア…。

マリアージュ…。もういい…私たちはこの世界に目覚めるべきじゃない。

イクス。王様なら、コントロールとかできないですか?

私は彼女たちを生み出すだけで、命令を下す機能はありません。
操主はどこか別に…。

そう…。なら!倒して進むだけです!

えっ!

(??)・プロテクション!

(保護バリア…。私にだけ?)

へへ…、イクスはこの中でじっとして、眼をつぶってて。

でも…。

話の途中だったんですから、どっかいったりしちゃあダメですよ?約束!

は…はい…。

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track15:ヴォルツ&ティアナ

施設内に滞在確認されていた要救助者、残り僅か。

ソードフィッシュワン、未だ反応無し。

そうか…。

ヴォルツ司令。ランスターです。

嬢ちゃん!今どこだ?

スバルのところに向かっています。
私の探している対象も、多分其処にいますので。

そうか。ナカジマのこと、頼めるか。

頼まれました。それでは!

よっし…!引き続き、作業急げ!

はい!

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■Track16:だけど、今は

どぉおおおりゃああ!

あの方…強い…!十体以上のマリアージュを、あんなに早く…。

なるほど…。

ラスト一体ぃ!リヴォルバァーーー!

右腕武装化。(???)

…っ!

防災士長、気をつけて。その子、軍団長です。
他の子たちより、ずっと強い…。

イクスを渡してください。

渡すわけ…ないでしょう!

左腕武装化…戦槍(いくさやり?)(??)炸裂榴弾砲

実弾兵器!防災士長、逃げて!

あ…あ…。

戦車を一撃で破壊する弾丸です。人の身で耐えられるものではありません。

なんて…ことを…。

あなたをずっと探していました。あなたがいなくては、我らの進軍は成り立ちません。

進軍なんて…しなくていい…!

導いてください。我らを新たな戦場(いくさば)へ。

もういいの…、私たちはもう、戦場にでちゃいけないの…!

イクス…。

うぉおおおおぁあああああ!

私の戦槍を破壊…。あの拳(こぶし)…、まさか…。

相棒!

ロードカートリッジ!

イクスに最後の(力を…。)?

振動拳!

ゴメン、マリアージュも無力化程度で確保したかったんだけど…。

あの子たちは動作できなくなると、自爆します。
貴女のせいではありません。

その機械骨格…、人工筋肉…、貴女も…?

…うん。

あなたも…兵器ですか?

そう…だね。鋼の骨格に、強化筋肉、戦闘機人の身体は、兵器なのかも…。
だけど!今は人間だよ…。

じゃあ、脱出しますよ、んしょ…。

あ…。でも、ひどいお怪我を…。

ふふん、平気です!

あのねイクス。うちは姉妹が6人いるんですが、全員わたしと同じ身体です。
でも、みんな元気に人間として生きてますよ。
聖王陛下だって、ゆりかごなんて物騒な舟とはバイバイしました。
今は優しいママと一緒に、明るく暮らして、楽しく学校に通ってます。

ほんとう…ですか?

本当です。帰ったら紹介しますよ。
うちの姉妹たちや、聖王陛下、昔のベルカのこと、色々知ってる人たちに。
みんなきっと、イクスに良くしてくれます。
もちろんわたしだって!

そんな…ことは…。

大丈夫!私が教えますよ。こんな炎の中じゃない、広くて蒼い空も。
イクスが生きてた時代とは、違う世界も。

防災士長、あなたは少し、強引な方ですね。

にひっ、たまにいわれます!
気弱なクセに強引でわがままだ、って。

そう思います…。

わがままついでにもういっこ。
家族や友達は、わたしのことをスバルって呼びますので、イクスもよかったら。

あ…。

さあ!揺れます!しっかりつかまって!

あの…。

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track17:StarS
スバルの反応がロストしたのは地下。来た道で帰れないなら…。

ティアナ〜!

ウェンディ!人命検索は?

確認された人員は全部助けたッス。ただ、スバルの反応が出たり消えたりで。
生命反応はふたつあったし、脱出しようと動いてはいるみたいなんスけど…。

ん…それは間違いない。
これ見て。この地図。スバルの反応位置と、火災状況、崩落の予想位置、これで、
スバルが何を考えるか、どこに行くかの予想はつけられる。

マジすか?

マジで。ウェンディ、付き合ってくれる?

オオッス!

だめです…!この先も行き止まり。

大丈夫!想定内です。
地図は全部頭の中に入ってる。
正規の道はなくても、私とイクスが上に向かえる場所…!
私が道をつくれるコース…!

スバルならそう考える。
狙う場所も想定できる。

って…まさか…。

この先の吹き抜けホール。そこからなら!

ここも、他よりも天井が高いですが、まだ、ずいぶん…。

いいんです!ここからなら行ける…!
イクス、ちょっと待っててくださいね。

スバル?まさか天井を砲撃で…。

はい!

無理です…。マリアージュの砲弾で、もうボロボロなのに…。

心配ないです。行けますよ!

スバル…。スバル!聞こえてたら返事して!

ティア!
ティア!こちらスバル!

見つけた…。もう大丈夫。映像通信、そっちは見えてる?

大丈夫、見えてる。

ほんとにいた!距離はあるけど、キッチリ真下!

こっちは、要救助者一名。

その子がイクス?

うん、そっちは地上?

あんたの真上よ。7フロア分。

今から天井を抜いて、道をつくる。
そしたら、イクスを連れて、上がってこられるわね?

うん!

いくわよ…。クロスミラージュ!

ファイアリングロックキャンセル。
ロードカートリッジ!

なっ、ティアナが壁抜きってそれまさか!

(???スタート)

辺りの魔力が多くない分、余裕はないけど、これくらいなら打ち抜ける!

光の粒が集まって…まるで…星みたいに…。あれは…収束砲…。

はい…。

何故でしょう…。あの茜色の星たちは、破壊の砲撃なのに、綺麗です…。

うん…。私も、そう思います。

スターライトブレイカー

スターライトォーーー!ブレイカーーーー!

はぁ…はぁ…進路クリア…、スバル!

了解!ウィング…ロード!

空へ…道が…!

あたしの魔法です!言ったでしょ?一直線だって!

うーうーうわーすーっげ!いつのまにティアナ、こんな!

まだまだ全然…カタチだけだけどね…。

ありがと!ティア!

このまま上空で待機しまーす!

スバル!空に、星が見えます!

えっ…?

それに…海も空気も、こんなに澄んで…。

はは…、昔のベルカは違ったんですよね。海も空も濁ってたとか。
でも、今の世界はこんな感じです。そうじゃない土地もまだまだあるけど…、
減らしていくよう、みんなが頑張ってます!
生きる希望…出てきました?

(その…)?

スバル!このバカ!心配かけやがって!

ノ…ノーヴェ…。

なんだ!その怪我!ほれ、二人まとめて連れてってやるよ。

あの…お顔も声もそっくりですが、ご姉妹で?

んぁ?

にひひ…いもうとー。

不本意ながらな…。

イクスは無事確保。

んじゃ、こっちはエリオたちと合流して、残りのマリアージュをやっつけますか!

ん、そうしましょ!

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track18:嵐の後

それからマリンガーデンの火災は何とか無事に治まりました。
そしてマリアージュ事件は、ルネッサ・マグナス執務官補による複合事件として取り扱われ、
大きなニュースとなりました。
連続殺人はトレディアの生存を匂わせるためと、捜査の攪乱や証拠隠滅のため・・・。
マグナス執務官補が直接手を下していたということもあり、管理局や直接の上司だったティアさんの責任問題を中心に、
大きな物議を呼びましたが、マグナス執務官補の計画そのものや、マリアージュの都市襲撃、それらを未然に防いだということで、
処分にまでは至りませんでした。
そして、事件からひと月と少し。ずっとミッドに留まっていたティアさんは…。

長くかかりましたが…ありがとうございました。ギンガさん。

うん、おつかれさま。ティアナ。

ザフィーラが戻るの、来月でしたっけ。
ホントはわたしもいろいろ教わりたかったんですが…。

ふふ…入れ替わりになっちゃって、残念…。

よろしく、伝えてください。

イクスは、救出されたその日から、海上隔離施設に保護されて、あれからずっと眠ってます。
マリーさんが健康状態を見てくれて、スバルさんやヴィヴィオはちょくちょく様子を見に行っているようですが…。
起きているイクス会えないのが、残念そうでした。
マグナス執務官補は拘置所で静かにしているそうです。
ティアさんは何度か会いに行っていましたが、何を話したのかは教えてくれませんでした。
そして…。

あ…スバル?あたし、明日の朝便チケットが取れたから朝イチで本局に戻るね。

そう。了解!

今日、非番よね?

そうだよー?もうずーっと働きづめの出づっぱり!二週間ぶりのオフだよ。

お世話になっちゃったお礼って訳じゃないけど…、夕食奢るわ。予定あけといて。

ああ、別に気にしなくていいけど、晩ご飯は了解!

ふふっ、じゃあね!

はーい。
…。っと…、また着信。はい、スバルです!

ああ、マリーです。スバル、今、あいてるかな?

はい!二週間ぶりの非番ですよ〜。

あのね、イクスが目を覚ましたの。

えっ!

会いに…来れる?

行きます行きます!

ただね…。伝えておかなきゃならないことがあるの…。

え…。

落ち着いて、良く、聞いてね。

                                                                                                                                                                                                                • -

■Track19:1000年

イークス!

あ…スバル。お久しぶりです。

うんっ。お久しぶりです。
目覚めの気分はどう?

快適です。お茶や食事や、お菓子までいただいてしまいました。

ふふっ…そう。

スバルが来るまで、この世界の風景や、ビデオレターというものを見ていました。

あ…ヴィヴィオの?

はい。聖王陛下からのものも。かわいらしい方で、驚きました。

でしょう?イクスと話したがってたんだけど…。
あ…通信…繋がるかな…。

はい、ヴィヴィオです。

スバルです。いま、お昼休み?

うん、そうですよー。

映像通信だいじょぶかな。イクスが起きてるんだけど。

全力で大丈夫です!

えと…ごきげんよう、イクスヴェリアさま。

聖王陛下、メール拝見しました。ありがとうございました。

いえーとんでもない。失礼とか無かったですか?

いえ…。

ちょ、やめなよ二人してそんな丁寧な〜。

あ…はは、そうですねー。

あの…陛下?貴女のお話、貴女の母上のお話、とても勇気づけられました。

えへへ…。

陛下は素敵なご家族とご友人をお持ちでいらっしゃいます。

イクスも、もうスバルさんと仲良しでしょう?私もお友達になれたらなーって思います。

光栄です。

とりあえず陛下はやめない?ヴィヴィオって呼んでくれた方が…。

あ…失礼しました…。じゃあ…ヴィヴィオ…。

失礼とかないよー。ありがとう、イクスー。

はい。


融合騎の方や、聖王ベルカ時代の騎士さまからもメールを頂きました…。

昏睡…、イクスが…ですか…?

今朝、わかったの。機能不全だと思うんだけど、今の技術では治療ができなくて。

そうですか…。

自然なかたちでの目覚めは、もう、今日が最後だと思う…。

っ…!そんな…。

じゃあ!通信で長話もなんだから、イクス!

はい、ヴィヴィオ

友達になってくれてありがとう、イクス。

こちらこそ。ありがとう、ヴィヴィオ

へへへ〜。じゃあ、スバルさん。ありがとうございましたー。

うん!

またねーイクス。ごきげんようー。

ごきげんよう

ヴィヴィオ、どうでした?

予想以上に可愛い方でした。あんなに印象年齢の近い方とお話した経験がないもので…。
今もドキドキしています…。

あ…、あたしとは平気?スバルとは…、なんだか落ち着きます。
助けていただいたからでしょうか…。

ふふ…そっかぁ、なんか嬉しいな…。

聞きましたか?私のこと…。

うん……、聞いた。眠っちゃうんだよね。これから。

いままでもそうでしたから…。
あ…眠っている間は、安全な場所に置いていただけるそうですので…。安心ですね…。

…とーぜんだよ。子供が眠るなら、安心して休める場所じゃないと。

いままでは…ね。

ん…?

目覚めてはマリアージュを生み出して、戦地に送り出して、城の中以外は灰色の空と、不毛の大地、
血染めのぬかるみしか、世界を見たことがなくて…。

うん…。

今度はいつ眠れるんだろう…?いつになったら殺さなくてよくなるんだろうって…。
ずっと、そんなことを考えてました。

うん…。

だけど、あなたに逢えて、それは違ったのだとわかりました。

え…?

自ら死のうとしている命さえ、命を賭して救おうとしてくれる人がいる。
私や、私の時代の人々が壊してしまった世界をこんなに綺麗なものに育ててくれたのは、
きっと、あなたのような人たちなのだと。

私は別として、この世界、いろんな人が生きてきましたから。

はい…。私は、自分で自分を、自分の周りの世界を変えなければいけなかったんですね。
そうしたらもっと早く、変われていたかもしれない。

過去は過去ですよ。大事なのは、今と、これから。

その通りです。そんな簡単なことに気づくのに、1000年以上もかかってしまいました。

かかりましたね。

かかりすぎです…。
ねぇ…スバル…?今の世界は、綺麗ですね。

はい…。

蒼い空と紺碧の海…。きれいな風。

ちょっと眠って、また起きればさ!またいくらでも見られますよ…。
ここだってきれいだけど、山も、海も空も、もーっともーっと綺麗な場所たくさんあるんだ!
紹介したい人だってたくさんいる!食べて欲しいものも、見て欲しいものも、すごいたくさん……。

そうですね…。そういったきれいですてきなものぜんぶ、貴女と一緒に触れていきたかった…。

…っ、っく…。

泣かないで…スバル。
私が次に目を覚ますのは、10年後か、100年後か、もしかしたら、また1000年先の事かも知れないけど、
その時の目覚めはきっと素敵です。

イクスぅ…わたし…。

もう…、えいっ!

……?

人の感謝に泣いたりする子は、デコピンです。

そんな…ヘンなこと憶えて…。

教えたのはスバルです。

っ…はははっ…。

たくさん笑ったら、眠くなってきました…。
優しいスバル…。少し…肩をかりても?

肩でも、胸でも…いくらでも。

はい…。では…。
あたたかいです…。

うん…。

スバル…それは…?
なぜ頭に触れるのですか?

撫でてるんですよ。いいこだなーって。

いい気持ちです…。ねむくなって…きましたよ…。

うん…いいですよ…。ゆっくりねむって…。

大好きです…。ありがとう…スバル…。
おやすみ…なさい…。

おやすみ…イクス…。

そうしてイクスはいつ醒めるかわからない眠りに就きました。
その寝顔は…、お昼寝してる幸せな子供そのものだったよって、あとでヴィヴィオが教えてくれました。

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■Track20:スバル&ティアナ

ただいまー。

あ、ティア、おかえり!

ちょっと待ってね。今着替えちゃう。

お店の予約、もう取ってあるからさ。

うん…。

なに?どうかした?

あ…今日のお昼くらいにね、イクスが起きたんだけど…、また眠っちゃった。

そうなんだ。

少し…長い眠りになるって。10年か…1000年か。

そう…。

今のこの世界は綺麗だって、イクスいってた。ありがとう…って。

ん…。
今日は天気良かったから、綺麗な空、一緒に見られた?

うん。嬉しそうだった。

いいのよ…、泣いてても。

…へーき。
一緒にいるときに、もうたくさん泣いたし。

そう…。

あのね、ティア。

ん?

イクスと話して、帰ってきてぼーっとしててさ。
その時に、ティアの副官の子、あの子の言ってたってこと、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、
解ったような気がしたの…。

どんな風に?

生きてるとさ…悲しいこと…たくさんあるでしょう…?
大切な人を亡くしたり、会えなくなったりとか…。

そうね…。

だけどさ、心はすごく悲しいのに、半日食べなきゃ、ちゃんとおなかは減るんだよね…。

うん…。

悲しいのに、ご飯食べて…眠くなったら眠って、やらなきゃならないことやって、
そんなことやってるうちに、悲しかった想い出が消えてって…。
そしたら、なんだか悲しかったことまで嘘になっちゃうような…。
そんな気がして…。それで、寂しかったんじゃないかな…って。

うん…。じゃあ、今夜はその話、ゆっくり考えよっか。
お店はキャンセルする?

へーき!イクスは眠っただけなんだし、防災士長がウジウジしてたら、恥ずかしい!

そうね。

明日も仕事だもん!しっかり食べなきゃ!

ん、お互いにね。

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■Track21:エピローグ

こうして、マリアージュ事件は終わりを告げました…。
スバルさんは訓練の時や、出動の帰り道、青空を見るとイクスのことを良く思い出すそうです。
会って話ができたのは、ほんの少しの間だったけど、大切な想い出だって、優しく笑って、教えてくれました。

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■Track22:My Friend