相棒 Season7 第11話:越境捜査

素晴らしい。亀が居なくなってどうなる事やらという気分を吹き飛ばす傑作。
おそらく視聴者は誰しも犯人には薄々気づくのですが、それを右京さんが確信し、状況の打破を図るギミックに唸らされる。
そして、この事件は亀が居ては多分解決ができなかっただろう。(亀が居たら、犯人に気取られてしまう可能性がある)
つまり、これは相棒という番組タイトルには反するが、右京さんひとりでも、いや一人だからこそ出来る話もある、という可能性を提示した回でもあるだろう。


いやー素晴らしい。


携帯の電波をジャミングされている状況で、どーやってメールうって角田課長に伝えるんだろう…と此処が疑問だったわけですが、
あざやかにその状況を打破しましたね。いやー、右京さんの周囲では犯罪おかせねーな(笑)


■おもしろポインツ
・「妙なこと言ってみろ!怒るぞ!」
右京さん達がそもそも確保しにきた容疑者が拳銃を持って立てこもり、人質に向けて放った台詞。
「怒るぞ」て(笑)そこは「撃つぞ!」だろ(笑)
まぁヘタレだったのでソッコーつかまりましたが、彼が此処で事件を起こしたことが、
後の事件にリンクする訳ですが…。


・留守宅のカーテンの揺れに気づく右京さん。
車のボンネットの温度に気づくのは基本だとしても、これに気づくのは凄い(笑)
でも、亀が居ない分、カメラワークでわかりやすさを演出していると思います。
執拗にエアコンをアップにしたりとか。
視聴者の誰にでもわかるように情報を整理する亀山の存在が居なくなった影響
(つまり亀山は視聴者レベルの思考なので亀山に説明することで視聴者の説明になるという展開)
は大きいですが、やはりその辺りはうまいですなあ。


・妙に頭が回って、根回しがいい誘拐捜査担当刑事
最初に家に来た時点から怪しいなーとは思っていたのですが、「でも人数多いよな…」でやや打ち消しつつ。
この頃はあれ、相棒の世界にこんなに根回しのいい刑事なんていたんだ!むしろラムネより有能!
とか思っていたのですが、ちくせうこれも伏線だった。素晴らしい。


・すげー雑な態度の家政婦さん。
なんか裏があるのかと思ってしまうくらいにぞんざいに扱われる右京さん。
しかも必殺「ひとつ、よろしいですか?」も、全然役にたたねー(笑)右京さんも微妙な雰囲気を感じつつ(笑)
このひとつえーというか、使えない。


・身代金を乗せた車を追う、尾行車も複線だったとは…。
トレーサがあるのに、何で尾行?という疑問から導き出されるのは、すなわち。
マジで今回の話は素晴らしい伏線の密度。


・ワンコールだけ鳴る電話。
もはや美しいとしか言いようがない。


・そして事件は、終わらない。
人質も解放され、、誘拐犯も逮捕。身代金も戻ってきそう、めでたしめでたしというところで右京さんが動く。
心中の「逃がしませんよ」の声が聞こえてくるよう。
この、追い詰めモードに入った右京さんはホントに怖くて、そして素晴らしい。
今回の話は、ピンの右京というものの魅力を凝縮させた話といっても過言ではないでしょう。
1時間の話なのに1時間半分くらいの感覚持ったしなあ。