相棒 第六話:希望の終盤

斬鬼さん、最近では次狼さんこと、松田賢二さんの出演が先週の予告から判明しており、
期待の会でしたが、話もやっといつものテイストが戻ってきた感がありますね。
さて、今回はワンシーズンに1・2回はある欝回です(笑)
なんといっても、どうにも預かり知らぬところでバッドエンド的展開。



導入としては、将棋のタイトル三冠を狙う西片が会場の裏手で遺体で発見された。
西片の部屋は荒らされており、何者かがこの部屋に侵入したことは明らか。
花瓶も倒れ、掛け軸や壁も濡れている。
しかし右京は掛け軸の脇に不自然に濡れていない場所がある事を見つけた。
その濡れていない場所は将棋盤を置くと水の濡れていない部分が一致し、将棋盤がここにあったことを示している。
だが、将棋盤は濡れている形跡が全くない。
誰かが、花瓶の水が掛かったあとに綺麗にふき取ったのではないか…。
つまりそれは、この将棋盤の価値を良く知る者の行動に他ならない…。
というところ。


見所といえば、


・警察犬もかくやの嗅覚を発揮する亀山
扇子に独特の匂いが。>封筒と便箋にも同じ匂いが>西片の持っていた御香袋にも同じ匂いが。
どんだけ犬並みの嗅覚(笑)
琥珀色の殺人」では利き酒で、違和感を読み取った亀山ですが、五感を使うことに関しては超人的ですな。


・特命係、現場に入るも米沢さんには挨拶するだけ。
特命側からは接触しない(迷惑を掛けないよう)という配慮かなー。
迷惑つっても捜査はしてるんですけどねえ(笑)まーたラムネがうるさいからでしょうか(笑)


・「形式上の質問ですから…」と繰り返す三浦さん。
それってば亀山のセリフじゃね?(笑)捜査に使えると思ったのか、三浦さんも使うようになってます。
前から使ってたかなー。でも「お前犯人じゃね?」っぽい質問を和らげるには効果的ではあるよな。


・将棋サロンで賭け将棋をする大野木(松田賢二
か、かっくいい…。程よく落ちぶれた感じがイかしてます。
やっぱいい俳優さんだよなー。


・明らかに亀山を制して、賭博を見逃す右京さん
いつもは犯罪に関して厳しい右京さんですが、今回の賭博に関しては見逃しましたね。
ま、この先の事件の解決という大事を優先させたという所でしょうか。


・畑記者もいい感じでした。
自然な演技がうまいなーと。
深夜に記事を書いてて、西片の電話を受けるシーンなどは思いました。


・六年前の二歩
西片がプロになれるかなれないかの瀬戸際の試合での大野木の二歩による西片の勝利。
西片は「大野木に勝ちを譲られた」すなわち不正による勝利と思い、不正ゆえに後ろめたさを抱いて生きてきた。
畑は「大野木が勝ちを譲った」として、それを今まで胸に秘めてきた。
大野木は「不正ではなく、最後までちゃんと勝負をしようという気負いから二歩をしてしまった。」という、二歩にまつわる、それぞれの勘違い。
ちなみに、六年前の二歩の頃の大野木さんは若造りで、これもまたよし。萌ゆる。
さておき。
だが、それ以後、その件を知る者にはタブーになったのか、お互いその話をせずに六年。
同じ境遇とはいえ、親近感を持ちつつも、なれ合わず距離を保った付き合いをしていたのかもしてませんねぇ。
だけど気になる間柄というか。


六年前の当時にわざとじゃないといっても白々しいだろうし、今現在にそれを言うべきだったのかなーとか思いますけど、大野木さんは、不正ではないと思っているから、ただ単に応援しようと最終局の前日に西片を訪れても感極まってなにも話せずに無言で立ち去る…と。すれ違い…。


えーと…事件を回避できるタイミングがないんですけど…(^^;


ここで前のシーンの「あいつは俺達の希望だ…」と掛かってくるわけなんですけど。
かつて同じ境遇にあり、道別れてなお、大野木は西片を「希望の星」として影ながら見守ってきたにも関わらず、西片は大野木を(そして畑も)不正を知る者として恐怖していたという構図ですね。
このタイトルの決着をつけた後は、六年前の(西片としての解釈の)事実を公表し、棋士も辞めて、肩の荷を下ろそうと考えていたが、最終局前日に大野木が現れたことで、西片は「不正によりプロになった者に指す資格などない」とでも受け取り、自殺という。
(まー、真剣師になった大野木にはそれなりの凄みというか、強面だしなー(笑)誤解もするか。)


大野木さんがもう少し、話せば…。とか、思いますけどね。てゆーか前日の夜に「お前は俺達の希望だ」って言ってやれば事件は…。
でも、どんな形であれ、あのとき指した二歩がもう、何を話しても真実が語れない疑惑の霧に紛れてしまうのだと思います。
不正なんじゃないと大野木が主張しても、どうしても西片の心にはわだかまりは消えないだろうし。
もはや、六年前に二歩を指してしまった時から、この事件は始まっていたともいえましょう。
いい話なんですけどね…。誤解での事件はもうすでにどうしようもない感が伴うので。


しかし、大野木さんの「あいつは俺達の希望だ…」と真剣師になっても言う大野木に萌えるぜ…。
ま、しかしながら誰も救われない、という欝話でした(笑)
すっげー地味ですが、佳作だと思います。


そして次回予告が期待を煽ります
ん、テレビ放映版と少し違いますね。亀山の台詞が短い。
ともあれ、ちょっと見るだけでも、小野田、ラムネ、刑事部長、などなど警察内部のお偉いさんがオンパレード。
話がでかくなりそうですねー。主に右京さんが大きくするのでしょうけどね!
皆さん必死こいて内部の不祥事を隠そうとしている感じがひしひしと…。


亀山の台詞「右京さんは強いですね…。そして…正しい。」
その口ぶりから、言葉通りの意味だけではない何かを含ませているのがありありと感じさせます。
右京さんは犯罪者に対し執拗に、そして容赦なく向かいますが、
人情派の亀山にはそこまで突き抜けられないところがあるからなー。
ま、そこがいいんですけど。


今週と同じく、来週も脚本は櫻井武晴。サブタイは「最後の砦」
「殺しのカクテル」「警官殺し」「裏切者」「サザンカの咲く頃」「複眼の法廷」
「編集された殺人」「黙示録」と挙げるだけでも、名作ぞろいの脚本家ですので期待大ですね。