ショコラ 〜maid cafe "curio" 裏エンド

2号店の出店も決まり、このところ何かと慌ただしさを増すキュリオ。
「今日もお客様が多かったけど…ちょっと落ち着いたかな…」
店内を一通りチェックし、オーダーも確認。よし、問題なし。少しは休憩の時間もとれそうだ。
大介はコーヒーでも飲んで、ちょっと一息吐こうと思い、厨房を訪れる。
「あの…坊ちゃん?」
「ん…?どうしたのバラさん」
神妙な面持ちで話しかけてくるバラさん。一体どうしたというのだろう。
「2号店のことで少々お話が」
「あ、そうだ。俺もバラさんと打ち合わせしなきゃなって思ってたところなんだ」
最近のバラさんは俺から見ても翠に厳しく指導している。
きっと2号店の厨房を任せられるようにと、持ちうる技術を翠に叩き込んでいるんだろう。
そんなことを思いながら俺は話しかけた。
「翠は2号店に来てもらうとして…、他のスタッフとか、シフトの話もありますし」
「いえ」
俺の言葉を遮るかのようにバラさんは切り出した。
「2号店には私が行きます」
まさに青天の霹靂。思いも寄らぬその言葉に一瞬、呆けた顔をさらしてしまった。
しかしすぐに事態を把握し、問いかける。
「この店はどうするんです?!バラさんが居なくなったら…」
「大丈夫です」
「へ?」
「翠さんがいますから」
「は?」
「自分のできること全てを彼女に教えました。今の彼女ならこの店を任せることが出来ます」
「えーと…」
「大介さん」
不意に「坊ちゃん」ではなく名前を呼ばれて狼狽える。
バラさんの視線が真っ直ぐに俺を見つめて、頬には赤みが差しているようにも見えた。
「私は貴方と一緒に…」
(ええええええええええええ!)


そんなバラさんEND